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院長コラム

2024.08.24

心臓弁膜症はどんな病気?当院での治療もご紹介

●心臓弁膜症はどんな病気?

心臓弁膜症は、心臓の弁が正常に機能しなくなる病気です。心臓には四つの主要な弁があります。これらの弁は、血液の流れを一方向に保つために働いています。具体的には、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁の四つの弁があります。これらの弁のいずれかが機能不全を起こすと、心臓の血流に影響を与え、心臓弁膜症として知られる状態が発生します。

 

●心臓弁膜症の種類

心臓弁膜症には主に二つの種類があります。

 

1. 狭窄(せまくなりすぎる): 弁が固くなり、完全に開かない状態を指します。これにより、心臓は十分な血液を送り出すために、より多くの圧力をかける必要があります。

2. 閉鎖不全(完全に閉じない): 弁が完全に閉じないため、血液が逆流してしまう状態です。この結果、心臓は再び同じ血液を送り出さなければならず、余分な負担がかかります。

 

これらの異常は単独で発生する場合もあれば、複数の弁に同時に異常が生じることもあります。また、異常の原因としては、加齢、先天性の異常、リウマチ熱、感染性心内膜炎などが挙げられます。

 

●心臓弁膜症の原因

心臓弁膜症の原因はさまざまです。

1. 加齢: 年齢を重ねるにつれて、弁が硬くなり、狭窄が発生することがあります。これを加齢性弁膜症といいます。

2. 先天性の異常: 一部の人々は生まれつき心臓弁に異常を持っており、これが原因で弁膜症を引き起こすことがあります。

3. リウマチ熱: リウマチ熱は、感染によって引き起こされる自己免疫疾患で、未治療の喉の感染(通常はA群溶血性連鎖球菌感染症)から発生することがあります。リウマチ熱が心臓弁を損傷することがあり、これが後の弁膜症の原因となることがあります。

4. 感染性心内膜炎: 心内膜炎は、心臓の内膜(心内膜)が感染する病気です。細菌や他の微生物が血流を介して心臓に到達し、弁に感染を引き起こすことがあります。この感染が弁を損傷し、弁膜症を引き起こすことがあります。

5. その他の原因: 心筋症や高血圧、心臓発作、弁の損傷を引き起こすような外傷なども心臓弁膜症の原因になることがあります。

 

●心臓弁膜症の症状

心臓弁膜症の症状は、軽度から重度までさまざまです。症状は徐々に進行する場合もあれば、急激に悪化することもあります。一般的な症状には以下のようなものがあります。

 

1. 息切れ: 心臓弁が正常に機能しないと、血液の供給が不十分になり、特に運動時や横になると息切れを感じることがあります。

 

2. 疲労感: 心臓が正常に血液を送り出すことができないため、身体全体が疲れやすくなります。

3. むくみ: 血液の流れが滞ることで、足や腹部にむくみが生じることがあります。

4. 胸痛: 弁膜症が原因で心臓に過度の負担がかかると、胸に痛みや不快感を感じることがあります。

5. 動悸: 心臓が異常に早く打ったり、不規則なリズムで打つことがあります。

6. めまい・失神: 血流が不十分になることで、めまいや失神を引き起こすことがあります。

これらの症状が見られる場合、早期に医師の診察を受けることが重要です。

 

●診断方法

心臓弁膜症の診断は、いくつかのステップを経て行われます。

 

1. 問診と身体診察: 医師は患者の症状や既往歴を確認し、心音を聴診器で確認します。異常な音が聞こえる場合、弁膜症が疑われます。

2. 心エコー検査: 心臓の動きや弁の状態を超音波で確認する検査です。弁の狭窄や閉鎖不全の程度を詳しく確認することができます。

3. 心電図: 心臓の電気的活動を記録する検査で、不整脈や心肥大などの異常を確認できます。

4. 胸部X線: 心臓や肺の状態を確認するための画像検査です。心臓の肥大や肺に水がたまっているかどうかを確認します。

5. カテーテル検査: 特殊なチューブを使って心臓の内部を直接観察し、弁の機能を評価します。この検査は特に重症例や手術前に行われることが多いです。

 

●治療方法

心臓弁膜症の治療は、病気の進行度や患者の状態に応じて決定されます。治療には薬物療法、外科的治療、経皮的治療があります。

 

1. 薬物療法: 軽度の症状の場合、薬物療法が行われます。血圧を下げる薬、利尿剤、抗不整脈薬などが使用され、心臓の負担を軽減します。

2. 外科的治療: 重症例では手術が必要になることがあります。手術には、損傷した弁を修復する弁形成術と、人工弁に置き換える弁置換術があります。

   - 弁形成術: 自分の弁を修復する手術です。弁を切開して広げる、弁の形状を修正するなどの方法が取られます。

   - 弁置換術: 損傷がひどい場合、人工弁に置き換える手術が行われます。人工弁には、機械弁と生体弁の二種類があります。機械弁は耐久性が高いですが、血栓予防のための抗凝固薬が必要です。生体弁は、動物の組織を使用した弁で、抗凝固薬が不要ですが、寿命が短いという特徴があります。

3. 経皮的治療: 最近では、外科手術を行わずにカテーテルを使用して弁を治療する経皮的弁治療(TAVI、MitraClipなど)が行われることがあります。特に高齢者や手術リスクが高い患者に対して有効です。

 

●予防と生活習慣の改善

心臓弁膜症を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。特に高血圧やリウマチ熱の管理が大切です。以下のような生活習慣を心がけましょう。

 

1. 健康的な食事: 塩分や脂肪の摂取を控え、バランスの良い食事を心がけます。

2. 適度な運動: 心臓に負担をかけない範囲での定期的な運動が推奨されます。

3. ストレス管理: ストレスは心臓に負担をかけるため、リラックスできる方法を見つけることが重要です。

4. 禁煙: 喫煙は心血管疾患のリスクを高めるため、禁煙が強く推奨されます。

5. 定期的な健康チェック: 特に高齢者や既往歴がある人は、定期的に医師の診察を受け、早期発見に努めることが大切です。

●まとめ

心臓弁膜症は、早期発見と適切な治療が重要な疾患です。症状が軽度であっても放置すると、心臓に深刻なダメージを与える可能性があります。定期的な健康診断と、症状が現れた際には早めに医師の診察を受けることが予後を改善する鍵となります。また、生活習慣の改善や適切な予防策を講じることで、心臓弁膜症のリスクを減少させることが可能です。心臓の健康を守るために、日常生活でできることを積極的に取り入れていきましょう。

 

★当院では札幌東徳洲会病院の医師による循環器治療を行っています。当院では専門の技師による心臓エコー・心電図検査及び医師の診察を行います。

薬物療法であればそのまま当院を受診していただき、手術やカテーテル検査が必要な場合は札幌東徳洲会病院にて実施します。診療日は火曜日と木曜日の午後です。気になる症状がある方は、まずは是非お気軽にご相談下さい。

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