当院では医療に関する講演会を実施しております。
先日行った三熊院長の講演「前立腺がんの診断と治療」の内容について掲載します。
【前立腺とは】
前立腺は男性にしかない臓器で、あまり聞きなじみが無いと思います。
前立腺の主な役割は以下の二つです。
- 精子を保護する前立腺液を分泌し、運動を活発化する
- 射精時に収縮し、精液の射出を補助する
【前立腺癌の特徴】
- 早期の前立腺癌は自覚症状がないことが多いです。尿がでにくい、排尿回数が多い等の症状が出る場合もあります。
- 進行すると、排尿の症状のほかに血尿、腰痛等の痛みが出ることもあります。
- 前立腺癌は男性では一番多い癌であり、発生は50歳代から急激に増え、年を重ねるごとに増えていきます。
年齢別でみる1年間の患者数データは下記の通りです。
40歳代で約2人、50歳代で約47人、60歳代で約273人(365人に1人)、70歳代で約592人(168人に1人)、80歳以上で約630人(158人に1人)
(出典:2019年 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)
- 50歳からは定期的に前立腺癌の検査・健診を受けることを推奨されており、自治体ごとに検査費用の補助を行っています。
札幌市では50歳以降2年に1度、500円で健診を受けられます。当院でも実施しているので対象の方はぜひご活用下さい。
【前立腺癌の検査・診断】
- 症状が現れていない時点では「PSA検査」と呼ばれる血液検査を行います。
「PSA」とは、前立腺から分泌されるたんぱく質の一種であり、PSA検査では血中のPSA濃度を調べます。正常な状態ではPSAの大半は精液中に分泌されるため血液中の濃度は少量ですが、前立腺に問題があると血液に漏れ出して数値が上がります。 - PSA検査の数値が高い場合は、前立腺癌かどうかを判別するために「前立腺生検」を行います。前立腺の組織を採取し、顕微鏡で確認することで前立腺癌かどうかを調べます。
入院が必要な検査であり、医療機関によりますが通常は1泊2日が多いです。
ひどい血尿が続く等、経過が悪い場合は入院が長引く場合もあります。 - 前立腺生検で前立腺癌と確定診断が出た場合は治療に移ります。
治療方法については別の記事でご説明します。アップロードまでしばしお待ちください。