前立腺は、男性の生殖器の一部で、精液の一部を作る役割を持っています。
年齢とともに大きくなりやすく、特に50歳以降の男性では肥大(前立腺肥大症)が見られることが多いです。
肥大した前立腺が尿道を圧迫して、排尿に関する問題が発生することがあります。
この状態を「前立腺肥大症」と呼びます。今回は、前立腺肥大症の主な症状をご紹介します。
目次
前立腺肥大症の代表的な6つの症状
前立腺肥大症により発生する症状は様々ですが、共通しているのは満足に排尿ができないことです。それに伴い下記のような状態が発生します。
1. 排尿困難
前立腺が大きくなると、尿道が圧迫され、排尿がスムーズに行えなくなることがあります。具体的には以下のような症状が現れます。
- 排尿開始の遅れ:尿意があっても、すぐに排尿を開始できない。
- 尿の流れが弱い:尿が細く、勢いがなくなる。
- 尿線が途切れる:排尿中に尿が途中で途切れることがある。
2. 頻尿
前立腺肥大により膀胱が完全に空にならないことから、頻繁にトイレに行きたくなることがあります。特に以下の状況で頻尿が顕著です。
- 日中の頻尿:短い時間間隔で排尿したくなる。
- 夜間頻尿(ノクチュリア):夜中に何度もトイレに起きることが多くなる。
3. 残尿感
排尿後に膀胱が完全に空になった感じがしない、残尿感を伴うことが多いです。これにより、再びトイレに行く必要があると感じる場合があります。
4. 急な尿意(尿意切迫感)
突然強い尿意が生じ、すぐにトイレに行かないと漏らしてしまう可能性がある状態です。この症状は、膀胱の過敏性が原因となり、前立腺肥大症患者に多く見られます。
5. 排尿後の滴下
排尿後、数滴の尿が漏れ出ることがあり、不快感や衛生的な問題を引き起こすことがあります。
出し切ったと思ってパンツを履いたとき、ちょろっと残尿が出てしまった…なんて経験はありませんか?個人差はありますが、年齢を重ねると少なからず発生してしまうものです。
6. 尿閉
前立腺の肥大が進行し、尿道が完全に閉塞すると、全く排尿できなくなる「尿閉」と呼ばれる状態が発生します。これは緊急の治療が必要な症状です。
イングランドNHSトラスト病院のデータを基にした調査によると、尿閉になった人の平均年齢は73、4歳でした。比較的高い年齢層で発生する状態です。
放っておくと死に至ることもある危険な状態です。丸一日ほとんど排尿ができない場合等は尿閉が疑われますので、早急に泌尿器科にご相談下さい。
前立腺肥大症の原因
原因は未だにはっきりとは解明されていませんが、男性ホルモンの減少が関わっているとされています。
加齢と共に男性ホルモンは減少するため高齢男性では飛躍的に多くなり、70歳以上では7~8割の方に前立腺肥大症を認めるといわれております。
前立腺肥大症の検査や治療方法
前立腺肥大症かどうかを診断するための検査として「診察」「尿流量測定」「残尿測定」「エコー検査」を実施します。
尿の出ぐあいと残尿がどれくらい残っているかを測定した上で、医師による腹部のエコー検査により判断します。
泌尿器科というと、尿道にカメラを入れるのではないか…といった想像をされる方が少なくないようですが、前立腺肥大症の検査にはそういったことが無いのでご安心下さい。
治療方法は一般的にはまず薬物治療を行い、それでも症状が改善しなかったり悪化する場合は手術での改善を目指します。
前立腺肥大症の治療方法に関する詳しい内容は以下の記事で解説しております。
前立腺肥大症の影響と対応
前立腺肥大症の症状は、日常生活の質を大きく低下させることがあります。特に排尿に関する不快感や頻尿、夜間頻尿は睡眠障害や社会的活動に影響を与えます。
例えば
- トイレが近くて出かけられない
- すぐにトイレに行けない長距離の移動が不安
- 睡眠不足による体調不良
- 映画やコンサート等の長時間拘束されるイベントに参加できない
これらの症状が生活に支障をきたす場合、早めに医師の診察を受けることが重要です。
薬物療法や手術による治療法もありますので、適切な治療を受けることで症状を改善することが可能です。
まとめ
今回は、前立腺肥大症の症状について解説しました。前立腺肥大症の代表的な症状は以下の通りです。
- 排尿困難
- 頻尿
- 残尿感
- 急な尿意(尿意切迫感)
- 排尿後の滴下
- 尿閉
排尿トラブルは、すぐに一大事になることは少ないため軽視されがちですが、前立腺肥大症の症状の程度によっては、日常生活に大きな影響を与え、生活の質を低下させてしまうことがあります。
前立腺肥大症は、尿の勢いの検査・残尿の測定・エコー検査といった比較的簡単な検査で診断が可能なため、「トイレが近くて外出が不安」「夜中に何度もトイレに起きてしまう」など気になる症状がある方は、泌尿器科への受診をお勧めします。
当院「ベテル泌尿器科」では、前立腺肥大症をはじめとする排尿トラブルの診療に40年間携わってきた三熊医師が、患者様の症状やお悩みに親身に寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。
周囲には少し聞きづらいような前立腺肥大症に関するお悩みをお持ちの方も、まずはお電話やメールにてお気軽にお問い合わせください。