もしも「前立腺がん」と診断されたら、心に押し寄せる不安や恐怖は計り知れないものです。
「自分の生活はどう変わるのだろう」「治療は本当に効果があるのか」「家族に迷惑をかけたくない」多くの患者様が抱えるこれらの思いは、ごく自然な反応です。
しかし、前立腺がんは適切な治療を受けることで、多くの患者様がより良い生活を取り戻しています。
本記事では、治療法の中でも特に「ホルモン療法」と「放射線治療」に焦点を当て、具体的な効果や副作用、治療費について詳しく解説します。
あなたの不安を少しでも和らげ、最適な治療法を選ぶ一助となれば幸いです。
前立腺がんの概要と検査方法については以下の記事でも解説しています。
前立腺がん治療の選択肢
前立腺がんは50歳以上の男性に多くみられる疾患で、早期発見と適切な治療により、良好な予後が期待できます。
前立腺がんの代表的な治療法は主に次の3つの種類が挙げられます。
- ホルモン療法
- 放射線治療
- 外科的手術
ここでは、それぞれの治療法の特徴について解説します。
ホルモン療法の特徴
1. ホルモン療法とは?
ホルモン療法とは、1~3か月に一度、定期的に注射を行う治療です。
性ホルモンを抑制する薬剤を投与することで、テストステロンの生成を抑制または作用を遮断してがんの進行を抑えます。
2. 完治の可能性
ホルモン療法は進行がんの治療において非常に有効ですが、単独での完治は難しい場合が多いです。他の治療法と組み合わせることで、治療効果を最大限に引き出します。
3. 費用
ホルモン療法の費用は治療法や薬剤によって異なりますが、月々数万円から数十万円程度かかる場合があります。健康保険が適用されるため、自己負担額は個々の負担額割合に応じて変わります。
4. 主な副作用
ホルモン療法では以下の副作用が起きる場合があります。
- 間質性肺炎
- アナフィラキシー
- 肝機能障害
- 胸が張る
副作用が発生した時のために、日々の体調管理が重要です。いつもと体の調子が違うことに気が付ければ、医師に早めに相談ができ、副作用の悪化を防ぐことができます。
また、体重が増加したり筋力が低下することもありますので適度な運動を取り入れると良いでしょう。
放射線治療の特徴
1. 放射線治療とは?
放射線治療は、高エネルギーの放射線を用いてがん細胞を破壊する治療法です。外部照射法や組織内照射法(ブラキセラピー)が主な方法として用いられます。
放射線ががんに有効なのは、放射線ががん細胞のDNAを直接破壊し、細胞分裂を抑制するためです。
正常な細胞も一部影響を受けますが、正常細胞には自己修復能力があるため、がん細胞よりも被害が少なく済みます。
この特性により、がん細胞を選択的に攻撃できるのが放射線治療の強みです。
2. 前立腺がんに対する有効性
前立腺がんにおける放射線治療は、特に早期から中期のがんにおいて非常に高い治療効果を示します。
また、進行がんの場合でも、ホルモン療法と併用することで生存率の向上が期待されます。さらに、放射線治療は手術が困難な患者や高齢者にも適用可能である点が大きな利点です。
3. メリット
- 手術を伴わないため、身体への負担が比較的少ない
- 通院治療が可能なため、仕事を続けながら治療ができる
- 高齢者や手術が困難な患者にも適応可能
4. デメリット
- 複数回の通院が必要
- 一部の患者で長期間の副作用が残る可能性がある
5. 費用
放射線治療の費用は治療期間や方法により異なりますが、総額で50万円から100万円程度が一般的です。健康保険が適用されるため、自己負担額は個々の負担額割合に応じて変わります。
また、治療が高額になった場合でも、自己負担の限度額は各健康保険で決まっていますのでご安心下さい。詳しくは加入している健康保険の窓口にお問い合わせ下さい。
6. 治療期間
通常、1回の治療は10–30分程度で、週に5日、数週間にわたって行われます。治療期間はがんの進行度や治療計画によりますが、通常6–8週間程度です。
7. 副作用
放射線治療の副作用としては以下が挙げられます
- 排尿時の違和感や頻尿
- 直腸の炎症(下痢や出血)
- 倦怠感
副作用は一時的であることが多いですが、長期間続く場合もあるため、治療中および治療後の経過観察が重要です。
副作用がひどくなってしまう場合もありますので、日々の尿や便の状態をよく観察し、出血がひどければ医師に相談して下さい。
ホルモン療法と放射線治療の組み合わせ
進行がんの場合、ホルモン療法と放射線治療を組み合わせることで、治療効果がさらに向上することが知られています。このアプローチは、がんの進行を抑えるだけでなく、生存率の向上にも寄与します。
例えば、前立腺がんの進行を抑えるためにまずホルモン療法でテストステロンの影響を減らし、その後放射線治療で残存するがん細胞を効果的に破壊することができます。
まとめ
前立腺がんは、早期発見と適切な治療が鍵です。特に50歳を過ぎた男性や家族歴のある方は、検査を定期的に受けることで健康リスクを大幅に減らすことができます。当院ではPSA検査を実施しておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。
当院「ベテル泌尿器科」では、PSA検査を実施しております。前立がんをはじめとする泌尿器科全般のトラブルの診療に40年間携わってきた三熊医師が、患者様の症状やお悩みに親身に寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。
また、札幌東徳洲会病院と連携し最新の放射線治療を提供しておりますので、もしも前立腺がんが発見されてもフォロー可能な体制を取っております。
周囲には少し聞きづらいような前立腺がんに関するお悩みをお持ちの方も、まずはお電話やメールにてお気軽にお問い合わせください。